2017年9月9日

CD・DVDの購入をゼロにし、「ナクソス」導入  


  海老名市立図書館では指定管理を開始した平成26年度以来、CD(中央図書館に4979枚保有)やDVD(有馬図書館に定例映画会用として156枚保有)の新規購入がストップしています。
理由について海老名市は本会の問い合わせに、「ナクソス・ミュージック・ライブラリーを導入した」からと答えています。 

ナクソス利用料はCD・DVD購入費の12倍
ナクソスとは、図書館でIDとパスワードを借り、インターネット配信の音楽を聴くシステムのこと。海老名市立図書館では従来の視聴覚資料購入費(25年度2万9千円)に比べて、ナクソスの利用料金が年間36万円とはるかに高額です。加えていくつも制約や問題があります。
   ナクソスで聴くことのできるジャンルはクラシックやジャズが中心です。歌謡曲やJポップ、日本のロック、子ども向けの歌、落語などは含まれていません。DVDは対象外です。
   市が定めた指定管理業務仕様書によれば、指定管理後、中央図書館の視聴ブースが廃止されるとともに、中央・有馬の両館で「館内ipadを活用したナクソス・サービスを実施する」と明記されています。しかし、そのご、館内ipadでナクソスを聴くことは契約上不可となっています。サービスの低下は明白であり、業務仕様書の不履行が厳しく問われます。
   ナクソスはスマホでは聴けません。自宅ではパソコンを所有し、インターネット利用者でなければ使用できません。
こうした結果、平成27年度の場合、CD(既存)の貸出状況は1万1783枚を数えていますが、ナクソスのログイン回数は656回にとどまり、CD貸出数の6%弱です。


視聴覚資料 市民本位で整備・活用を

ナクソス社にTRCが参画
 海老名市立図書館がCD・DVDの購入費をゼロにし、ナクソスを導入する。この“乗り換え”の背景には――。
市立図書館とナクソス社との契約に関する情報公開資料によれば、同図書館の利用申込書の送付先は驚くことに図書館流通センター(TRC)営業デスクです。
有馬図書館の管理者TRCはナクソス社の運営にも参画しているのです。これでは“自分で自分と契約”したのも同然ではないでしょうか。
もう一方、中央図書館の管理者はレンタル大手「ツタヤ」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)です。同社の事業にはCDやDVDなどのレンタル業があります。図書館に希望するCDやDVDの新作がなければ、レンタル店に足を運ぶ人は増えるのではないでしょうか。
結局、市立図書館の視聴覚資料問題には、市民の利益より管理者2社の利益を優先する意図はなかったのか、との疑念が生じます。 

管理者は契約の履行を
公立図書館が視聴覚資料を収集し、利用に供することは、図書館法第3条に定められています。海老名市と市立図書館は視聴覚資料の整備・活用を、「国民の教育と文化の発展に寄与する」(同法)との目的に沿って市民本位に整備すべきです。
当面、市立図書館は次のことが求められます。
   館内パソコンを用いたナクソスのサービスをただちに実施する
   ナクソスが対象外とするジャンル(歌謡曲やJポップなど)のCDは収集する
   CD視聴の専用席を設ける
   「みんなのシネマ」を中央図書館でも導入(「業務仕様書」は導入・検討を明記)する


ストップした子ども向けコーヒー講座
海老名市立中央図書館の子ども向け「コーヒー講座」がストップしています。
同講座は5歳から12歳を対象に、平成27年以降10回開催。しかし、コーヒーには子どもの生育にリスクが懸念されるカフェインが含まれています。海老名の学校給食でもコーヒー牛乳はメニューから外れています。
本会は市に講座の中止を要望し、東京新聞や市議会でも同問題が取り上げられました。市教育長は「指定管理者に意見を言いたい」(3月16日)と市議会で答弁せざるを得なくなっていました。