図書館市民ニュース 第1号 2016年3月発行
学習会「図書館って楽しいよ」 広い市民が参加
葉山敦美・座間市立図書館主幹が講演
図書館と市民を結ぶ海老名の会は3月5日、学習会「図書館って楽しいよ―図書館を生活」を海老名市内で開きました。図書館の本来の値打ちを学びつつ、「ツタヤ」問題も考えようと計画されたもの。会場は満席になり、共感の声が数多く寄せられました。
■公共図書館の大事な役割は「調べたい・見たい・聞きたい」市民へのサービス
講師の葉山敦美・座間市立図書館主幹は、公共図書館の大事な役割として、「調べたい・見たい・聞きたい」市民へのサービスがあると強調。病院の情報を調べたいという市民に、定評のある医療書をいっしょに見てもらうなど、行き届たサービスを紹介しました。加えて、図書館はあらゆる個人・施設とつながることができると指摘。生徒から「帰らないで」と請われる県立座間養護学校でのおはなし会(年10回)や、親子がそろって楽しむ「親子でふるえるこわいおはなし会」など、市民に開かれた座間図書館の実践例を明らかにしました。
公共図書館の“公平”な役割についても、基地・日米安保の本を賛成も反対もそろえている例を示し、「判断は読む人にしてもらう」と語りました。
■ツタヤ図書館の「ブラックボックス」化/本物が並べられてこそ重量感も
葉山氏は図書館の指定管理者制度問題について、メリット・デメリットの両論にふれつつ本質が経費節減にあると指摘。書架の間隔が車イス利用者にとっては狭い実例などを挙げました。同制度が導入される背景についても、直営時代に住民参加や地域社会への貢献が“低調”であったケースを明らかにしました。
また、分類法の問いを「企業秘密」として拒み、貸し出し数も不明という佐賀県武雄市の「ツタヤ」図書館の事例については、公共図書館ではあり得ないと言及。その「ブラックボックス」化に警鐘を鳴らしました。
海老名市立中央図書館にも並ぶ「ダミー本」(本の形の偽物)にふれて、「図書館は本物が並べられてこそ重厚感も生まれる」と述べました。
■“きみたちの一歩のために図書館はあるんだよ”
質疑応答で葉山氏は、公共図書館の在り方の一つに、子どもの居場所としての役割があると発言。佐賀県の伊万里市立図書館はミッション(使命)のなかに“きみたちの一歩のためにこの図書館はあるんだよ”を掲げ、子どもらとの結びつきを深めていると語りました。
市民のための図書館を 確信を深めてスタート♪
図書館学習会の準備中、驚いたのは、主催者も知らないところで参加者の輪が広がったことです。
電話で申し込んできた女性は、開口一番、「ありがとうございます」と言い、「海老名の図書館問題にモヤモヤしていただけに、今回のような学習会を待っていた」と一気に語りました。市内の二つの喫茶店も学習会の案内チラシの掲示を快諾しました。学習会に立場の違いを越えた参加した市民や市議は、公共図書館の進んだ経験や教訓を学びました。
市民は、文化的な生活とともに、市民のための図書館を願っています。海老名の新しい市民運動は確信を深めてスタートしました。