海老名7市議と当会が懇談
図書館と市民を結ぶ海老名の会はこのほど、市立中央図書館のあり方を中心テーマに、海老名市会議員との懇談を連続して行いました。市議の出席者は、太平会の山口良樹、日本共産党の佐々木弘、松本正幸、いちごの会の西田ひろみ、相原志穂、田中ひろこ、吉田みな子の各氏。
懇談は初の取り組みでしたが、いずれも和やかな雰囲気で進行しました。市議の各氏は、中央図書館が市民の貴重な文化財であると述べつつ、児童コーナーを4階に置く危険性や年報の発行が半年以上遅れていること、子ども向けの本が少ないことなどに触れて、「サービスの向上」(市との協定書)が疑われると発言。公募委員を含む図書館協議会の復活などが求められると語りました。
当会は中央図書館の利用や調査を踏まえて、安全で利用しやすい図書館が望まれていると指摘。各市議にこんごも立場などの違いを超えて、「よりよい図書館」への一致点で協力・共同し合うことを要望しました。
古い山岳ガイド本 書庫に 本会の指摘受け
海老名市はこのほど、市立中央図書館の書架に並べられていた、古い山岳ガイド本を、書庫に移したことを明らかにしました。
問題の山岳ガイド本シリーズの発行は30年前。山小屋の現在は使用されていない電話番号や今日とは違う収容人員などが複数冊に紹介されていました。当会は現地に確かめるなど調査も行い、利用者の安全に影響しかねないとして、改善を求めていました。
今回の問題については神奈川新聞も、「市民団体が要望するまで整理できないようでは困る」(10月12日付社説)と報じています。
新聞記事のスクラップは未実施
問われる住民サービスのあり方
海老名市立中央図書館では海老名に関わる新聞記事が収集(スクラッピング)されていないことが本会の調査で明らかになりました。
地元の行政の動きや住民に関わる出来事などを取り上げた新聞記事は、市民の身近な情報です。同記事のスクラップは座間や綾瀬の図書館では継続的に行われています。
中央図書館は「データベースがあるからスクラッピングは実施していない」と説明。データベースで日本経済新聞と朝日新聞の記事を検索できるといいますが、一般紙のなかで海老名関係の記事が一番多く掲載される神奈川新聞は検索外です。
地元関係の新聞記事を市民に利用しやすい形で提供し、将来的な活用も想定して郷土資料としての保存も図る――このことは地域の公立図書館の大事な責務ではないでしょうか。
各地の公共図書館を訪れて(3)
神奈川県綾瀬市立図書館
神奈川県綾瀬市立図書館
館長代行の藤巻美由紀さんに図書館運営の方針、特徴などを聞き、館内を見学しました。同館は有隣堂が指定管理者として管理・運営を担っています。
☆「図書館は使う側(市民)のもの」(藤巻館長代行)
・利用者アンケート、利用者フォーラム、利用者用ポストの設置などで、利用者の声を 聞き、職員の仕事にも反映されています。
・図書館見学会が毎月開催され、普段は見られない書庫の内部も公開されています。
・利用者アンケート、利用者フォーラム、利用者用ポストの設置などで、利用者の声を 聞き、職員の仕事にも反映されています。
・図書館見学会が毎月開催され、普段は見られない書庫の内部も公開されています。
☆綾瀬市と詳細な協定を締結
・蔵書数の分類ごとの比率は、前年度からの変動幅を1%以内に収めています。
・図書館年報の発行時期は次年度始めの1カ月以内と定められています。
・市の招集で図書館協議会が開催されています。
・蔵書数の分類ごとの比率は、前年度からの変動幅を1%以内に収めています。
・図書館年報の発行時期は次年度始めの1カ月以内と定められています。
・市の招集で図書館協議会が開催されています。
☆毎朝、全員で書架を点検整備
・「内容が古くなった本」「季節的にずれた本」「傷んだ本」がないか点検し、適切な本との入れ替えや補修を行っています。
・「内容が古くなった本」「季節的にずれた本」「傷んだ本」がないか点検し、適切な本との入れ替えや補修を行っています。
・人気の高い作家の本や内容が充実しているのにあまり読まれていない本に、コメントを添えて、見やすい位置に配架するなど、本に親しみを持ってもらえるための工夫がされています。
☆豊富な郷土資料が一室に収められています
・郷土資料室(2階)には、養豚やバラの地場産業資料、基地資料、地元の出来事を掲載した新聞記事(コピー)など、郷土ならではの資料がそろえられています。(松)
・郷土資料室(2階)には、養豚やバラの地場産業資料、基地資料、地元の出来事を掲載した新聞記事(コピー)など、郷土ならではの資料がそろえられています。(松)
☆子どもが親しみやすい図書館に
・職員手作りのペーパークラフト「BOOK」の文字や動物の絵入り表示など、子どもに親しみやすい工夫がふんだんにあります。
・2015年度の児童書の貸出冊数は前年度より約1万5千冊増えました(1・8%増)。
☆読書普及へ学校に配本サービス
・特筆されるのは、市内小学校10校、中学校1校、保育園、幼稚園に配本サービスを行っていることです。小学校の各クラスには2カ月おきに40冊ずつ本が届き、教科書に出てくる文学作品はすべてそろえられています。
☆力を入れているおはなし会
・出前おはなし会が未就学児、年長、低学年を対象に、中央公民館(月3回)、北野台地区センター、寺尾いずみ会館、南部ふれあい会館などで開催されています。
☆リーフレットでアドバイス
・リーフレット「おすすめブックリスト」「ピッキーの本棚」は小学生向けの本を紹介。
・毎月10、20、30日はテレビやゲームを一休みし、読書や家族の時間として過ごすことが呼びかけられています。
・調べ学習の手引きには、小学生向けの「キーワード」や「関連本」などが紹介され、役に立ちます。(井)
編集後記
海老名市立中央図書館は、薬、検査、食事療法、パソコンのガイド本等の分野で、10数年から35年前に発行された古いガイドブック“が多数並んでいます。一方で新しい情報が掲載された本が少ないのか、求める本を探し出せない事態にしばしば遭遇します。
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様々な医療知識、パソコンのOS(基本的なソフトウェア)等は時代とともに早い速度で進化しています。図書館ではより新しい情報が効果的、効率的に提供されるべきではないでしょうか。「私たちの図書館宣言」(図書館友の会)にある「知る自由と学ぶ権利を保障する図書館」「司書職制度が確立され、経験を積んだ館長と職員がいる図書館」を切に望みます
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館員さんは低姿勢で、入館者の苦情に直面しても嫌な顔を見せずに丁寧に応じてくれます。が、本と資料を求めて来館した人の「探しにくい」という多数の声をどのように受け止められているのでしょうか。要望に対して「上の者に伝えます」だけでは解決になりません。
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市立とうたう以上、市民の意思を反映する開かれた図書館であってほしい。同時により良い図書館づくりを担う館員さんたちの力、意見も反映され、誇りを持てる図書館であってほしいと願っています。(J)