4月の下旬頃、海老名市立中央図書館の出口の所で、「リサイクル市」が開催されているのを偶然見つけ、中川志郎「黄色い天使」、吉田とし「赤い月」、堀田善衛「ミシェル城館人」など5冊を貰い受けてきた。
帰宅してすぐに「黄色い天使」を読んでみた。”動物を知ることは、人間自身を知ることだ”というまえがきから始まる昭和61年発行の小学生向けドキュメンタリーシリーズ。思わぬことからひよこの母親代わりになって悪戦苦闘する野球少年の話と家族愛が強く、結束の厳しいチンパンジー村に住むために、試練を受けるケンタの話は面白かった。百万種の動物たちが人間とともに生存し、お互いの協力がいかに大切かを感じとってほしい、との作者のことばに、あらためて自然界の広さと深さ、人間社会はその一部であることに気づかされる。発行されて30年後の今でも読み応えのある本であった。思いがけずに良い本に巡りあえたことは、たとえようもなく嬉しく、リサイクル市を開催して下さった中央図書館に心から感謝したい。
同時に改善してほしいことも浮上した。除籍本は、元より市民の財産であり、「リサイクル市」を開催するにあたって、もっと早く、広く市民に知らせてほしい。市の広報、ビラに加え、HP。細かいことになるが、「リサイクル市」の案内、方法について市立図書館からの発信窓口を統一してほしい。
海老名市立有馬図書館は雑誌類のリサイクル市について、HPの「お知らせ」欄に掲示され、中央図書館の「リサイクル市」は、イベント欄2頁目に掲載されていた(4月時点)のでわかりにくかった。有馬図書館ではリサイクルの単行本類は、常時一定の箇所に並べられており、雑誌のバックナンバーのリストは事前に公開されているが、中央図書館では雑誌のリサイクルはない。図書の分類法の違いを始めとして、日常の運営が大きく異なっている現在の市立図書館のありかたは、利用者を戸惑わせているのではないだろうか。
座間市立図書館ではボランティアの方々の手で、除籍本を循環させる形でまわし、収益で図書館に新たな本を寄贈する事業がなされていると聞いた。座間図書館と市民が一体となって、市民主体の事業がなされていることは、大変素晴らしいと思う。
海老名市立図書館が、市民のための図書館であるために、今一層、市民の声を表現していく大切さを痛感している。図書館は市民の要望を一層受け止め反映させてほしいと願っている。 (J)