松宮 光興
座間市立図書館を見学しました。運営を業者に依存していない、市の直営図書館です。入口には図書館の催し物などのお知らせとともに、市からのお知らせなども掲示してありました。
新聞の閲覧台が4つも
受付カウンターの手前にある階段を上ると、講座室・会議室・研修読書室などになっています。読書室には二人ずつの机が4列×8列に並んでいるので、一度に64人が利用できます。
受付の脇に、新聞・雑誌の閲覧コーナーがあって、新聞を2ページ分開いた状態で、2紙を置ける閲覧台が4つも並んでいたので驚きました。しかも一般の新聞だけでなく、神奈川県や座間市の広報の他に、海老名・綾瀬・厚木など近隣市の広報紙、タウンニュースやリベルタなども置いてありました。
ガラス窓で仕切られた「おはなし室」
児童書コーナーは、書棚も子どもの身長に合わせて低くなっており、本の種類も「にほんのものがたり」などとひらがなの大きな文字で書いてあります。一角にガラス窓で仕切られた6畳間二つ分ぐらいの部屋があり、入口には「おはなし室」と書いてあります。読み聞かせや紙芝居などをやるようです。子どもたちも、お話しに集中できると感じました。
受付から先は一般の書棚が、2列ずつ11本、並んでいて、両サイドと中央の通路、さらに棚ごとの間隔は全て、約1.5メートルと広いので、書棚の前に人がいても、支障なく通行できます。
中央通路の棚には「小説」「エッセイ」「文学全集」などと分類が明示され、番号の大きな棚には政治・哲学などの専門性の高い本なので、読みたい本を探しやすくなっています。
それでも見つからない場合のため、例えば動物学の棚に「ペットに関する本については3番の棚(分類645)もごらんください」などと書いてあるのです。職員の方が、利用者の立場になって、図書館のレベル向上に努力していることが感じられて感動しました。
海老名市立中央図書館4Fをウォッチングする
図書館を使った調べる学習にふさわしいか
海老名市は、今年度第1回「図書館を使った調べる学習コンクール」を始めた。調べる学習のテーマを決め、資料や実験など駆使して自分の見解をまとめて発表する自学自習のスタイル。さて、中央図書館が、児童・生徒にとって「図書館を使って調べる」というコンセプトにふさわしいかは、大いに疑問である。レファレンスは有効に働くのか。相談に乗ってくれるスタッフはいるのか。なじみの十進分類とは違うライフスタイルの配架では調べたい本が見つけにくい。
そもそも子どもが一人で来る環境ではない。大人や学生たちが大勢座っている学習室を見ただけでもそういえる。
他方、有馬図書館はこの夏、そのための講座を開くなどきめ細かい取り組みやサービスを行っている。
中央図書館では毎週土曜日、午後2時~3時の予定でおはなし会が開催されている。場所は、円形の中央(靴を脱ぐ)。
8月13日の3時頃行ってみた。外国人の職員が12、3人の幼児に、英語で折り紙の指導をしていた。保護者も同行している。周囲がざわざわしていて集中できない。おはなし会の場所は、他の読者と区別して、話ができる個室が相応しい。
終了間際、スタバのコーヒーが幼児にもふるまわれていた。コーヒー飲料の幼児に与える影響や、「飲食ルール」に配慮を欠くサービスではないだろうか。
乳幼児の本・絵本が少ない
おはなし会の場所の円形中央の枠を配して2段の本棚がある。そこには、乳幼児向け絵本があるのだが、本の量・質ともにみすぼらしい。読み聞かせも含め、座って読めるコーナーになっているのだが。絵本は買って読んでくださいということか。(I)
編集後記
〇…初めて訪れた有馬図書館は、中央図書館とはまるで違う、落ち着きがあり、“水を得た魚”の気分になりました〇…十分な広さをもった児童書や絵本コーナー、目の高さに合わせた書架、ていねいな案内、掲示物などを見て、子どもたち一人ひとりを配慮し、本を通して子どもたちの成長に真摯に向き合っていこうとする図書館の姿勢を感じました
〇…入口近くには新着本が陳列され、海老名の歴史資料は見やすく展示されていました。従来の分類で配架された書棚では、とまどいなく本を探せます
〇…残念に感じたのは、蔦屋書店の商品情報をのせた海老名中央図書館の図書検索機が、有馬図書館でも使われていたことです。「本を借りる」か「本を買う」の選択画面を「借りる」モードで進めても、商品の価格、在庫の有無等の商品情報が出る検索機です。有馬図書館を利用する人にとってみれば、違和感をもつのではないでしょうか。(J)