小学生へのコーヒー講座 示せなかった医学的根拠
リスクがある以上、きっぱり中止すべき
海老名市立中央図書館の小学生向けコーヒー講座について、内野優市長はこのほど当会の質問書に回答を寄せました。
回答の大きな特徴は、これまでの「子どもが飲んだのはココア」(中央図書館フエィスブック)との説明を一転させて、質問書が指摘した通り、コーヒーの摂取を認めたことです。その整合性が問われています。
また、市はこんごも講座の開催を認めると言い張っていますが、「試飲サイズ」「保護者の付き添いのもと」と述べるのにとどまり、安全だという医学的根拠をまったく示すことができません。
コーヒーに含まれるカフェインが子どもの成長に及ぼすリスクが高いことは、カナダの保健省からも指摘(内閣府食品安全委員会の報告書に記載)されています。コーヒー業界も「10歳以下の子供には、基本的に控えた方がよい」(UCC上島珈琲HP)と表明。海老名市の給食ではカフェインの影響を心配する保護者の意向などを踏まえ、コーヒー牛乳がメニューから外されています。
小学生向けのコーヒー講座は、リスクが指摘される以上、きっぱり中止すべきです。
スタバのサンドイッチ 館内で食べてはいけない?!
海老名市立中央図書館で持ち込みの弁当などを食べることができない問題について、当会は要望書も提出して改善を求めてきました。市は「検討中」の回答を会に寄せた直後、市議会(昨年12月14日)で「原則として許可しない」と表明しました。
金指太一郎教育次長はその理由を「図書館は食事をする場所ではない」「(弁当は)臭いがする」と市議会で答えています。
仮にその通りであるならば、館内のスターバックスではカレーやエッグ、チ-ズ、加工肉入りのサンドイッチが売られていますが、食べてはいけないことになります。コーヒーも無臭なのでしょうか。
弁当を持参できる大和、座間、寒川などの図書館
「近隣でも食事を認めているところはない」も、真実を隠すための答弁です。
大和市立図書館は弁当などを持ち込める交流スペース(80席)を備え、大勢の市民に利用されています。座間、寒川、茅ヶ崎、鎌倉、逗子、町田などの図書館でも食事が可能です。
市は市民の道理ある訴えを前に、「悪天候時は柔軟に対応」とも言い始めていますが、旧中央図書館では常時、玄関ホールで弁当類を食べることができました。
中央図書館は食事問題でも「市民のための図書館か」という根本的な問題が問われています。
各地の公共図書館を訪ねて
誰もが落ち着いて読書できる大和市立図書館
オープンしたばかりの神奈川県大和市立図書館を「図書館と市民を結ぶ海老名の会」で訪ねました。
大きな「SiRiUS」(シリウス)という文字の下を入ると、まずスペースの広さに驚かされます。エスカレーターの周囲には新刊書籍が、また入口正面の壁面には80種ほどの新刊雑誌が並び、その周囲にはゆったりしたデザインのいすが20席ほど置かれています。
2階は社会、教育、政治、経済などのコーナー。3階には児童書コーナーと、ちびっこ広場・げんきっこ広場などの遊び場に加えて、DVDの視聴ができる「子どもシアター」もあります。
4階では、一般の書籍の他に、健康関連の本を集めた健康コーナーがあり、講座も頻繁に行われています。また中高生向けの本を集めたティーンズコーナーの他、新聞コーナーに中高生向けの新聞も置かれていて、大和市が教育に力を入れていることを感じました。
5階には、文学全集や外国文学、農業・工業・商業などの専門書があり、また調べ物をする利用者をサポートするレファレンスカウンターがあります。
6階は図書館ではなく、大小の会議室の他、一人でも食事などに自由に使える市民交流スペース(写真)があります。
すべてのフロアーに共通して、書棚と読書室が別の場所ではなく、書棚のすぐ脇に照明付きの閲覧机があって本を読めます。年齢や性別に関わらず、誰もが気軽に落ち着いて読書ができる雰囲気を感じました。(m)
海老名図書館年報に記載ミス
定期刊行雑誌は77誌であるのに86誌を記載
海老名市立中央図書館は平成26年度、148誌の定期刊行雑誌を受け入れていましたが、27年度は77誌に半減させました(当会が27年12月時点の定期刊行雑誌に関する情報開示請求資料で確認)。
ところが、27年度の図書館年報には86誌と掲載され、列記された雑誌名には多くの誤りがありました。定期刊行誌86誌の中には新聞2紙、受け入れていない雑誌12誌が混じる一方、表記からもれた定期刊行誌は5誌を数えるという、信じがたい誤りです。
昨年11月末、指定管理者CCCの担当者は誤記を認め、27年度年報の訂正を行うと答えました。しかし、4カ月経過した現在、いまだに訂正されていません。
図書館年報は図書館事業の年度報告であり、記載ミスがあれば、訂正が必要であることはいうまでもありません。
図書館年報のずさんな管理の一端が露呈しました。公立教育機関としての見識をもった運営が望まれます。(J)
編集後記
2月10日、海老名市の社会教育委員会で図書館についての審議があった
▼ある委員が中央図書館の蔦屋書店の売り場面積にふれて、「売り上げ目標があるのか」「あれだけの売り場面積は必要か」と質問。館長は市民に「魅力的なサポート、最新情報のサービスのため」と答えるのにとどまり、教育委員会の次長が「目的外使用で認めている」とフォローした
▼「座席を多くしてほしい」との要望に対しても、館長は「学習室を3時間の予約制」にすることで問題を解消したいと答えた
▼同委員の質問は市民を代表するものに思え、拍手を送りたかった。ただ議論にならなかったのは残念だった
▼先日、図書館のエントランスで、「ここは図書館でなくて、本屋さんだね」と言いながら出てくる家族連れに遭遇した。その通りだと思った。(K)