2017年3月26日

海老名市立中央図書館 訪問記 その2

 館内の階段で2階に上がると、目の前に「ファッション」と表示された棚がある。その棚の上段には「井上ひさし全芝居」7巻や「演劇太平記」6巻、「日本芸能史」6巻などが。隣の「建築」の棚には、「東山魁夷」「尾形光琳」「狩野探幽」「棟方志功」などの本がずらりと並んでいる。
なぜ芝居の台本がファッションなのか。古今の画家の本が建築に分類される理由も理解不能だ。
 
3階に上がってみると、円弧状の書棚に「西洋近代史」との表示があるが、そこには「中国現代史」「モンゴル現代史」「東南アジア現代史」「南アジア現代史」「中東現代史」「アフリカ現代史」などの本が並んでいる。中国やモンゴルは、いつから「西洋」になったのだろう。

同館は再オープンした当初、本の分類が十進法でないとして批判されていたが、そんな分類法式の問題以前に、常識では考えられない配架が行われているのだ。
三島由紀夫の「金閣寺」や司馬遼太郎の「街道を行く」が旅行ガイドに分類されていたことは、コンピューターがタイトルだけで分類したからだといわれればうなずけるとしても、常識外れの分類をしていたのでは、読みたい本が見つからないのも当然だ。                                                                               (エビ無し天丼) 

2017年3月22日

海老名市立中央図書館 訪問記 その1


 久しぶりに海老名市立中央図書館を訪問した。昨年来た時には大勢の人でごった返していた一階が、休日の昼時だというのに人がまばらだった。
カフェ部分が拡張されて、その分、書店が狭くなっているように感じる。考えてみれば、駅の近くに三省堂と有隣堂があるし、活字離れが社会問題になっている時に、この場所で書店が繁盛するとは思えない。
契約更改の時に指定管理者CCC(レンタル大手「ツタヤ」)の運営会社)は撤退するかも知れない。それまでに市長や教育委員会は、指定管理者の変更だけでなく、市立図書館のあり方などを詳細に再検討しておいてほしいものだ。

中央図書館の雑誌コーナーは、棚の構造上63誌が限界だ。400以上の雑誌を置いている大和市立図書館とは雲泥の差だ。新聞と雑誌の閲覧コーナーに小さなテーブルを置いた理由も解せない。
カウンターの職員に、雑誌のリクエストができるか聞いてみると、要求は聞くが、それに応えられるか決まるのは1年先だという。
書棚の構造上、数を増やすことができず、新しい本を買うことにすると、現在買っている本を減らさなくてはならないようだが、これでは市民から見放されてしまうだろう。                                                                                 (エビ無し天丼)


2017年3月16日

図書館市民ニュース 第5号 発行・2017年3月


 小学生へのコーヒー講座 示せなかった医学的根拠
リスクがある以上、きっぱり中止すべき

 海老名市立中央図書館の小学生向けコーヒー講座について、内野優市長はこのほど当会の質問書に回答を寄せました。

回答の大きな特徴は、これまでの「子どもが飲んだのはココア」(中央図書館フエィスブック)との説明を一転させて、質問書が指摘した通り、コーヒーの摂取を認めたことです。その整合性が問われています。

また、市はこんごも講座の開催を認めると言い張っていますが、「試飲サイズ」「保護者の付き添いのもと」と述べるのにとどまり、安全だという医学的根拠をまったく示すことができません。

コーヒーに含まれるカフェインが子どもの成長に及ぼすリスクが高いことは、カナダの保健省からも指摘(内閣府食品安全委員会の報告書に記載)されています。コーヒー業界も「10歳以下の子供には、基本的に控えた方がよい」(UCC上島珈琲HP)と表明。海老名市の給食ではカフェインの影響を心配する保護者の意向などを踏まえ、コーヒー牛乳がメニューから外されています。

小学生向けのコーヒー講座は、リスクが指摘される以上、きっぱり中止すべきです。


スタバのサンドイッチ 館内で食べてはいけない?! 
海老名市立中央図書館で持ち込みの弁当などを食べることができない問題について、当会は要望書も提出して改善を求めてきました。市は「検討中」の回答を会に寄せた直後、市議会(昨年1214日)で「原則として許可しない」と表明しました。

金指太一郎教育次長はその理由を「図書館は食事をする場所ではない」「(弁当は)臭いがする」と市議会で答えています。
仮にその通りであるならば、館内のスターバックスではカレーやエッグ、チ-ズ、加工肉入りのサンドイッチが売られていますが、食べてはいけないことになります。コーヒーも無臭なのでしょうか。
弁当を持参できる大和、座間、寒川などの図書館
 「近隣でも食事を認めているところはない」も、真実を隠すための答弁です。
大和市立図書館は弁当などを持ち込める交流スペース(80席)を備え、大勢の市民に利用されています。座間、寒川、茅ヶ崎、鎌倉、逗子、町田などの図書館でも食事が可能です。

市は市民の道理ある訴えを前に、「悪天候時は柔軟に対応」とも言い始めていますが、旧中央図書館では常時、玄関ホールで弁当類を食べることができました。
中央図書館は食事問題でも「市民のための図書館か」という根本的な問題が問われています。

各地の公共図書館を訪ねて
誰もが落ち着いて読書できる大和市立図書館
 オープンしたばかりの神奈川県大和市立図書館を「図書館と市民を結ぶ海老名の会」で訪ねました。

大きな「SiRiUS」(シリウス)という文字の下を入ると、まずスペースの広さに驚かされます。エスカレーターの周囲には新刊書籍が、また入口正面の壁面には80種ほどの新刊雑誌が並び、その周囲にはゆったりしたデザインのいすが20席ほど置かれています。

2階は社会、教育、政治、経済などのコーナー。3階には児童書コーナーと、ちびっこ広場・げんきっこ広場などの遊び場に加えて、DVDの視聴ができる「子どもシアター」もあります。

4階では、一般の書籍の他に、健康関連の本を集めた健康コーナーがあり、講座も頻繁に行われています。また中高生向けの本を集めたティーンズコーナーの他、新聞コーナーに中高生向けの新聞も置かれていて、大和市が教育に力を入れていることを感じました。

5階には、文学全集や外国文学、農業・工業・商業などの専門書があり、また調べ物をする利用者をサポートするレファレンスカウンターがあります。

6階は図書館ではなく、大小の会議室の他、一人でも食事などに自由に使える市民交流スペース(写真)があります。

すべてのフロアーに共通して、書棚と読書室が別の場所ではなく、書棚のすぐ脇に照明付きの閲覧机があって本を読めます。年齢や性別に関わらず、誰もが気軽に落ち着いて読書ができる雰囲気を感じました。(m) 


海老名図書館年報に記載ミス
定期刊行雑誌は77誌であるのに86誌を記載 

海老名市立中央図書館は平成26年度、148誌の定期刊行雑誌を受け入れていましたが、27年度は77誌に半減させました(当会が27年12月時点の定期刊行雑誌に関する情報開示請求資料で確認)。

ところが、27年度の図書館年報には86誌と掲載され、列記された雑誌名には多くの誤りがありました。定期刊行誌86誌の中には新聞2紙、受け入れていない雑誌12誌が混じる一方、表記からもれた定期刊行誌は5誌を数えるという、信じがたい誤りです。

昨年11月末、指定管理者CCCの担当者は誤記を認め、27年度年報の訂正を行うと答えました。しかし、4カ月経過した現在、いまだに訂正されていません。

図書館年報は図書館事業の年度報告であり、記載ミスがあれば、訂正が必要であることはいうまでもありません。
図書館年報のずさんな管理の一端が露呈しました。公立教育機関としての見識をもった運営が望まれます。(J)

編集後記 
2月10日、海老名市の社会教育委員会で図書館についての審議があった
▼ある委員が中央図書館の蔦屋書店の売り場面積にふれて、「売り上げ目標があるのか」「あれだけの売り場面積は必要か」と質問。館長は市民に「魅力的なサポート、最新情報のサービスのため」と答えるのにとどまり、教育委員会の次長が「目的外使用で認めている」とフォローした
▼「座席を多くしてほしい」との要望に対しても、館長は「学習室を3時間の予約制」にすることで問題を解消したいと答えた
▼同委員の質問は市民を代表するものに思え、拍手を送りたかった。ただ議論にならなかったのは残念だった
先日、図書館のエントランスで、「ここは図書館でなくて、本屋さんだね」と言いながら出てくる家族連れに遭遇した。その通りだと思った。(K)

2017年3月12日

本への愛情が感じられない図書館  


〇…依然としてありました。背表紙に「DICTIONARY」と記された厚紙だけの中身のない「本」。海老名市立中央図書館の地下の閲覧室に下りる階段からは丸見えです。空虚感さえ覚えざるを得ません。

〇…同館がダミー本を置いていることは、「偽物を飾る『カフェ』」(神奈川新聞、20151024日付)と、リニュアール時から問題視されてきました。にもかかわらず置き続けている。市民はあきらめるだろう”と高をくくっているのでしょうか。

〇…いうまでもなく本には筆者や出版社の思い、愛情が込められています。公立の図書館には当然、それらを基本的人権の一つとして知る自由をもつ、どの市民にも提供する使命があります。ダミー本を置く図書館はそうした使命を最初から放棄しているといっても過言ではないでしょう。

〇…先日、大和市立図書館を見学しました。海老名と同じく指定管理者が運営する図書館ですが、「ダミー本は」との問いに、館側は即座に「ありません」と明言しました。誇りさえ感じさせる姿勢でした。
あきらめることなく、「ダミー本はノー」の声を上げ続けます。(海)

2017年3月1日

「CDやDVDに不満足」の声にどう応えるのか


                      

海老名市の第5回社会教育委員会議(2月10日)を傍聴し、大いに考えさせられました。
中央図書館に関する利用者アンケートでは、満足度が低かった個別項目の一つに「視聴覚資料(CD)の数や資料」があり、私も頷けるものでした。

指定管理者制度が開始した平成26年以降28年まで視聴覚資料購入はゼロで、市と中央図書館は全く手を抜いています。図書館にCDを置くことが「ツタヤ」(指定管理者)のレンタル業の支障になると思っているのではと疑いたくなります。
また、「リニューアルオープン時、CDは5000枚の在庫があるなか2000枚を書棚に並べた」という中央図書館の発言にもあいた口がふさがりませんでした。
3000枚ものCDが市民に見えない書庫にしまわれていたのです。現在は棚を増やして5000枚すべてを開架しているそうです。
曰く、「枚数を増やしたことで、探しにくいと感じる人が増えてしまった」
それでは、CD・DVDレンタルショップでは探せない人だらけで大変ではないですか、と言いたいです。

わかりやすい分類で配置され案内表示があれば、枚数が多くても、「探しにくい」という声は起こりません。姿勢と技量が問われています。
CDやDVDの数と種類に不満足という市民の声に、中央図書館と海老名市はどれだけ誠意をもって応えてくれるのか、今後も注目していきます。(J)

私の図書館利用法

                                   神谷 幸男

 以前の海老名図書館には月に数回は行っていたと思うが、最近は文化会館での会議の際に立ち寄っても何だか落ち着かないので、すぐ出てしまう。かわりに最近はちょっと変わった図書館利用をしている。
 読みたい本があると、まず登録している県立図書館のホームページにログインして、図書館OPAC(蔵書検索・横断検索)から 横断検索に入る。書名を記入してから★検索対象の図書館★ を「全選択」 にして検索をクリックする。県内40館以上を探せるので読者の少ない本も見つかることが多い。
 例えば、今読んでいる『放射線被曝の争点』(写真)県内の公共図書館では相模原、厚木、川崎の3つの図書館にあり、海老名図書館と連携している厚木図書館で予約して、車で行ける南依知公民館で受け取った。
 同様に、大和、座間、綾瀬図書館も連携しているので借りにいける。他の図書館の場合は県立図書館経由のため時間がかかるが海老名図書館に送ってもらうことが出来る。その海老名図書館からは、最寄りの海老名市かしわ台出張所で受け取り、返すことが多い。
 先日の見学会で大和市のシリウス図書館の素晴らしさを知ったが、駐車料金が高いのであれから行っていない。図書館は、その品揃え(蔵書内容)、立地、雰囲気、利用のしやすさなどで選ばれる時代になっていくと思う。