2016年11月20日

図書館市民ニュース 第4号 2016年11月発行

「よりよい図書館」へ協力・共同を
 海老名7市議と当会が懇談
  図書館と市民を結ぶ海老名の会はこのほど、市立中央図書館のあり方を中心テーマに、海老名市会議員との懇談を連続して行いました。市議の出席者は、太平会の山口良樹、日本共産党の佐々木弘、松本正幸、いちごの会の西田ひろみ、相原志穂、田中ひろこ、吉田みな子の各氏。

懇談は初の取り組みでしたが、いずれも和やかな雰囲気で進行しました。市議の各氏は、中央図書館が市民の貴重な文化財であると述べつつ、児童コーナーを4階に置く危険性や年報の発行が半年以上遅れていること、子ども向けの本が少ないことなどに触れて、「サービスの向上」(市との協定書)が疑われると発言。公募委員を含む図書館協議会の復活などが求められると語りました。

当会は中央図書館の利用や調査を踏まえて、安全で利用しやすい図書館が望まれていると指摘。各市議にこんごも立場などの違いを超えて、「よりよい図書館」への一致点で協力・共同し合うことを要望しました。

古い山岳ガイド本 書庫に  本会の指摘受け
海老名市はこのほど、市立中央図書館の書架に並べられていた、古い山岳ガイド本を、書庫に移したことを明らかにしました。

問題の山岳ガイド本シリーズの発行は30年前。山小屋の現在は使用されていない電話番号や今日とは違う収容人員などが複数冊に紹介されていました。当会は現地に確かめるなど調査も行い、利用者の安全に影響しかねないとして、改善を求めていました。

今回の問題については神奈川新聞も、「市民団体が要望するまで整理できないようでは困る」(10月12日付社説)と報じています。

新聞記事のスクラップは未実施
問われる住民サービスのあり方
海老名市立中央図書館では海老名に関わる新聞記事が収集(スクラッピング)されていないことが本会の調査で明らかになりました。

地元の行政の動きや住民に関わる出来事などを取り上げた新聞記事は、市民の身近な情報です。同記事のスクラップは座間や綾瀬の図書館では継続的に行われています。

中央図書館は「データベースがあるからスクラッピングは実施していない」と説明。データベースで日本経済新聞と朝日新聞の記事を検索できるといいますが、一般紙のなかで海老名関係の記事が一番多く掲載される神奈川新聞は検索外です。

地元関係の新聞記事を市民に利用しやすい形で提供し、将来的な活用も想定して郷土資料としての保存も図る――このことは地域の公立図書館の大事な責務ではないでしょうか。


各地の公共図書館を訪れて()
神奈川県綾瀬市立図書館


   館長代行の藤巻美由紀さんに図書館運営の方針、特徴などを聞き、館内を見学しました。同館は有隣堂が指定管理者として管理・運営を担っています。


☆「図書館は使う側(市民)のもの」(藤巻館長代行)
・利用者アンケート、利用者フォーラム、利用者用ポストの設置などで、利用者の声を  聞き、職員の仕事にも反映されています。
図書館見学会が毎月開催され、普段は見られない書庫の内部も公開されています。


☆綾瀬市と詳細な協定を締結
・蔵書数の分類ごとの比率は、前年度からの変動幅を1%以内に収めています。
・図書館年報の発行時期は次年度始めの1カ月以内と定められています。
・市の招集で図書館協議会が開催されています。


毎朝、全員で書架を点検整備
・「内容が古くなった本」「季節的にずれた本」「傷んだ本」がないか点検し、適切な本との入れ替えや補修を行っています。

・人気の高い作家の本や内容が充実しているのにあまり読まれていない本に、コメントを添えて、見やすい位置に配架するなど、本に親しみを持ってもらえるための工夫がされています。


豊富な郷土資料が一室に収められています
・郷土資料室(2階)には、養豚やバラの地場産業資料、基地資料、地元の出来事を掲載した新聞記事(コピー)など、郷土ならではの資料がそろえられています。(松)  


☆子どもが親しみやすい図書館に

  ・入り口そばのキッズスペースは、一階フロアの約3分の1を占め、絵本や紙芝居、児童書が充実しています。
・職員手作りのペーパークラフト「BOOK」の文字や動物の絵入り表示など、子どもに親しみやすい工夫がふんだんにあります。
2015年度の児童書の貸出冊数は前年度より約1万5千冊増えました(1・8%増)。

読書普及へ学校に配本サービス
・特筆されるのは、市内小学校10校、中学校1校、保育園、幼稚園に配本サービスを行っていることです。小学校の各クラスには2カ月おきに40冊ずつ本が届き、教科書に出てくる文学作品はすべてそろえられています。

力を入れているおはなし会
・出前おはなし会が未就学児、年長、低学年を対象に、中央公民館(月3回)、北野台地区センター、寺尾いずみ会館、南部ふれあい会館などで開催されています。

リーフレットでアドバイス
・リーフレット「おすすめブックリスト」「ピッキーの本棚」は小学生向けの本を紹介。
・毎月10、20、30日はテレビやゲームを一休みし、読書や家族の時間として過ごすことが呼びかけられています。
・調べ学習の手引きには、小学生向けの「キーワード」や「関連本」などが紹介され、役に立ちます。(井)

編集後記
海老名市立中央図書館は、薬、検査、食事療法、パソコンのガイド本等の分野で、10数年から35年前に発行された古いガイドブック“が多数並んでいます。一方で新しい情報が掲載された本が少ないのか、求める本を探し出せない事態にしばしば遭遇します。
        ★
様々な医療知識、パソコンのOS(基本的なソフトウェア)等は時代とともに早い速度で進化しています。図書館ではより新しい情報が効果的、効率的に提供されるべきではないでしょうか。「私たちの図書館宣言」(図書館友の会)にある「知る自由と学ぶ権利を保障する図書館」「司書職制度が確立され、経験を積んだ館長と職員がいる図書館」を切に望みます
        ★
館員さんは低姿勢で、入館者の苦情に直面しても嫌な顔を見せずに丁寧に応じてくれます。が、本と資料を求めて来館した人の「探しにくい」という多数の声をどのように受け止められているのでしょうか。要望に対して「上の者に伝えます」だけでは解決になりません。
         ★
市立とうたう以上、市民の意思を反映する開かれた図書館であってほしい。同時により良い図書館づくりを担う館員さんたちの力、意見も反映され、誇りを持てる図書館であってほしいと願っています。(J)

2016年11月6日

要望書 中央図書館にお弁当などを持ち込める措置を


              201611月6日

海老名市長 内野 優 様                                         
                                                    図書館と市民を結ぶ海老名の会

日頃のご尽力に敬意を表します。
さて、海老名市立中央図書館のテラスでは、高校生が寒風にふるえながら、おにぎりなどを食べている光景が見られます。一階の「スターバックス」で購入した食事は館内で食べることができる一方、持参した食事はテラスで摂るとの「飲食ルール」があるためです。
テラスは屋根のついた個所が限られています。横殴りの風雨を防ぐ仕切りも皆無です。暖房器具の設置も不十分です。
 結局、市民は持参した食事を、台風下でも、炎天下でも、厳寒期でも、外で摂らなければなりません。

市民サービスの低下は明らか
 いま、公立図書館では、お弁当などを持ち込める休憩コーナーを整備するケースが少なくありません。好評を得て、利用者が増える要因の一つとなっています。
 旧中央図書館でも市民は持参した食事を入口内で食べることができました。現状では「市民サービスの向上」(市と指定管理者による基本協定書)が厳しく問われています。市民の利便よりも商業主義を優先する市立図書館であってよいのでしょうか。

以上、中央図書館にお弁当などを持ち込める措置を強く要望します。

2016年9月27日

図書館市民ニュース  第3号  2016年9月発行

中央図書館の視察でわかったこと

安全で、利用しやすい図書館を 


 当会はこのほど、海老名市立中央図書館を視察しました。「安全性」や「利用しやすさ」などに照らして、改善を必要とする諸点が浮き彫りになりました。

避難訓練は利用者の多い時間帯に
 避難訓練について市は、「3月に実施した」と説明していますが、今回の視察で、
訓練は平日の開館直後であったため、4階キッズコーナーの訓練参加者は親子3組
にとどまっていたことが判明しました。首都直下地震の発生が危惧されるなか、4
階はベビーカーの使用者も利用しています。避難訓練は利用者の多い日曜日の時間
帯などに実施されるべきです。
キッズルームは一階へ
 キッズルームには高さ約2・2㍍という書架もあります。子どもの手は全く届き
ません。「スタッフに声をかけて」と説明されていますが、スタッフは本の販売で忙
しくしていました。
 海老名は若い世代の家庭も多いまちです。キッズルームを1階に移すことや、乳
幼児・児童向けの図書館分館を市内に設置することなども検討されるべきでしょう。
雑誌・新聞コーナーの拡充を
1階の新聞・雑誌コーナーでは、閲覧用テーブルは狭く、椅子の数も限られています。
新聞を広げて読む専用台もありません。
 雑誌の数は、旧中央図書館時の148冊から77冊へと大幅に減少しています。
 「蔦屋書店の雑誌を読むことができる」と説明されていますが、同書店ではバック
ナンバー(既刊の号)を利用することはできません。中央図書館の雑誌をより拡充
することが望まれます。
珍妙な配架――文学の区分の明瞭化を
 文学関係の図書は、小説は地下に、エッセイ、文芸評論は2階に、詩、俳句・短歌、文学全集は
地下と2階にまたがっており、探すのに階段の昇降が必要です。文学全集は散在し、高い段にある
ため手に取って見ることができません。「海外文学」の区分も混乱しています。例えば、「中国文学」のコーナーには「タイ現代詩選」や「トンイ」()が並んでいます。「ガリヴァー旅行記」(英)や「アメリカエッセイ傑作選」(米)は「その他の海外文学」に。
立図書館ではおよそ見られない光景ではないでしょうか。
持参の弁当類も館内で食べられるように
 中央図書館の館内での食事のルールは、カフェ「スターバック
ス」のパン類はOK、市民持参のパン類はNOと、“二重基準”です。
持参の食事は「テラス席で」と説明されていますが、屋根のついた
テラスは限られ、風雨を防ぐ仕切りも皆無です。
 旧中央図書館では持参したパンや弁当を入口内で食べることがで
きました。中央図書館は市立をうたう以上、市民のものであるはず
です。持参の食事も館内で食べられる措置が求められています。

2016年9月26日

レベル向上目指す座間図書館
                                  松宮 光興

座間市立図書館を見学しました。運営を業者に依存していない、市の直営図書館です。入口には図書館の催し物などのお知らせとともに、市からのお知らせなども掲示してありました。

新聞の閲覧台が4つも
受付カウンターの手前にある階段を上ると、講座室・会議室・研修読書室などになっています。読書室には二人ずつの机が4列×8列に並んでいるので、一度に64人が利用できます。 
 受付の脇に、新聞・雑誌の閲覧コーナーがあって、新聞を2ページ分開いた状態で、2紙を置ける閲覧台が4つも並んでいたので驚きました。しかも一般の新聞だけでなく、神奈川県や座間市の広報の他に、海老名・綾瀬・厚木など近隣市の広報紙、タウンニュースやリベルタなども置いてありました。

ガラス窓で仕切られた「おはなし室」
 児童書コーナーは、書棚も子どもの身長に合わせて低くなっており、本の種類も「にほんのものがたり」などとひらがなの大きな文字で書いてあります。一角にガラス窓で仕切られた6畳間二つ分ぐらいの部屋があり、入口には「おはなし室」と書いてあります。読み聞かせや紙芝居などをやるようです。子どもたちも、お話しに集中できると感じました。
受付から先は一般の書棚が、2列ずつ11本、並んでいて、両サイドと中央の通路、さらに棚ごとの間隔は全て、約1.5メートルと広いので、書棚の前に人がいても、支障なく通行できます。 
 
 中央通路の棚には「小説」「エッセイ」「文学全集」などと分類が明示され、番号の大きな棚には政治・哲学などの専門性の高い本なので、読みたい本を探しやすくなっています。
 それでも見つからない場合のため、例えば動物学の棚に「ペットに関する本については3番の棚(分類645)もごらんください」などと書いてあるのです。職員の方が、利用者の立場になって、図書館のレベル向上に努力していることが感じられて感動しました。 


海老名市立中央図書館4Fをウォッチングする


図書館を使った調べる学習にふさわしいか
 海老名市は、今年度第1回「図書館を使った調べる学習コンクール」を始めた。調べる学習のテーマを決め、資料や実験など駆使して自分の見解をまとめて発表する自学自習のスタイル。
 さて、中央図書館が、児童・生徒にとって「図書館を使って調べる」というコンセプトにふさわしいかは、大いに疑問である。レファレンスは有効に働くのか。相談に乗ってくれるスタッフはいるのか。なじみの十進分類とは違うライフスタイルの配架では調べたい本が見つけにくい。
 そもそも子どもが一人で来る環境ではない。大人や学生たちが大勢座っている学習室を見ただけでもそういえる。
 他方、有馬図書館はこの夏、そのための講座を開くなどきめ細かい取り組みやサービスを行っている。

おはなし会は人気がありそうだが…
 中央図書館では毎週土曜日、午後2時~3時の予定でおはなし会が開催されている。場所は、円形の中央(靴を脱ぐ)。
 8月13日の3時頃行ってみた。外国人の職員が12、3人の幼児に、英語で折り紙の指導をしていた。保護者も同行している。周囲がざわざわしていて集中できない。おはなし会の場所は、他の読者と区別して、話ができる個室が相応しい。
 終了間際、スタバのコーヒーが幼児にもふるまわれていた。コーヒー飲料の幼児に与える影響や、「飲食ルール」に配慮を欠くサービスではないだろうか。

乳幼児の本・絵本が少ない
 おはなし会の場所の円形中央の枠を配して2段の本棚がある。そこには、乳幼児向け絵本があるのだが、本の量・質ともにみすぼらしい。読み聞かせも含め、座って読めるコーナーになっているのだが。絵本は買って読んでくださいということか。(I

編集後記
〇…初めて訪れた有馬図書館は、中央図書館とはまるで違う、落ち着きがあり、“水を得た魚の気分になりました
〇…十分な広さをもった児童書や絵本コーナー、目の高さに合わせた書架、ていねいな案内、掲示物などを見て、子どもたち一人ひとりを配慮し、本を通して子どもたちの成長に真摯に向き合っていこうとする図書館の姿勢を感じました
〇…入口近くには新着本が陳列され、海老名の歴史資料は見やすく展示されていました。従来の分類で配架された書棚では、とまどいなく本を探せます
〇…残念に感じたのは、蔦屋書店の商品情報をのせた海老名中央図書館の図書検索機が、有馬図書館でも使われていたことです。「本を借りる」か「本を買う」の選択画面を「借りる」モードで進めても、商品の価格、在庫の有無等の商品情報が出る検索機です。有馬図書館を利用する人にとってみれば、違和感をもつのではないでしょうか。(J


2016年7月25日


図書館市民ニュース  第2号  2016年7月発行

図書館ビジョン 若い世代も参加して作成を
図書館友の会全国連絡会代表と懇談

「図書館と市民を結ぶ海老名の会」は5月27日、図書館友の会全国連絡会の福富洋一郎代表を招き、懇談会を開きました。
福富氏は、公共図書館の発展を求めて活動する同連絡会に全国の81団体が参加していることや、自身も居住地で図書館のボランティア活動を行っていることなどを紹介。子どもを育てるうえで貴重な役割を担う図書館の教育的文化的な役割などを強調しました。 

図書館の望ましいあり方
氏は、海老名市立中央図書館(海老名「ツタヤ図書館」)についても言及。中央図書館長が蔵書分類の基本的な質問に、「企業情報に関わる」ので「回答を差し控える」と述べたことを明らかにしました。
コーヒーを飲みながら本を閲覧できる図書館が全国には「ツタヤ図書館」以外にも数多くあること、「本が好き」という若い人も参加する横浜の図書館運動の経験、図書館の望ましいあり方を示す自治体の「中長期計画」を若い世代も参加してつくる意義などについても指摘しました。

力強さを感じた懇談会 
参加者からは、「図書館問題に熱く 取り組む人が全国に大勢いることが分かった」(女性)、「市民の一人として甘い姿勢を考えさせられる時間になった」(女性)、「訴訟までやっている人がいて、力強さを感じた」(男性)などの感想が寄せられました。

安全脅かす山岳本の開架 改めよ
本会が海老名市長に要望  

 図書館と市民を結ぶ海老名の会は6月21日、海老名市立中央図書館の山岳本問題について、要望書を内野優市長に提出しました。

使われれていない電話番号も
 中央図書館には登山者の安全を脅かしかねない山岳本が幾冊も開架書架に置かれています。
  なかでも「日本の名峰」シリーズ(山と渓谷社)の各巻は、各地の山々の 登山コース、所要時間、交通、山小屋の電話番号などを詳しく紹介。いずれも30年前の情報です。その一つ、『中央アルプス・御岳』も同様の情報を掲載していますが、御岳は二年前に噴火。死者数が58人と、戦後の噴火災害で最悪になりました。    
  古い山岳ガイド本には、台風や雪崩による崖崩れで、なくなった登山ルートや山小屋が記載された巻、現在使用されていない山小屋の電話番号を紹介した巻、山小屋の収容人員を現在は30人であるのに、「収容人員100人」と記した巻もあります。

蔵書の更新を
  要望書は2015年の山岳遭難が2058件と、1961年以降では最多となっていることを指摘。「現状とは違う山岳本を利用者の見える開架書架に置くことは、その安全や命を脅かす危険さえ招きかねない」と告発しています。
  海老名市立図書館の「除籍基準」が「出版年が古く情報源として適さなくなったもの」は「除籍により蔵書の更新」を図ると明記していることにも言及し、古い情報を載せる山岳本の開架図書扱いを直ちに改め、除架等の手続きをとることを強く求めています。

教育・文化の薫り高い 佐賀・伊万里市民図書館     
  井田憲治

伊万里市民図書館佐賀県伊万里市に設置されている公共図書館です。図書館の建設や運用について、市民と行政が一緒に考え実行していることや、図書館ボランティアを全国に先駆けて進めるなど、様々な先進的活動で知られています。
訪ねた2016年5月10日、そぼ降る雨の中を歩いて市立図書館に到着しました。傘を置き、入ったところは子どもフロアでした。ドアのすぐ右側にちょっと低めのカウンタ|があり、目線の下の方に書架が並んでいて、その広いスペ|スにあっと驚かされました。海老名市立図書館の四階にあるキッズフロアとの大きな差異を感じました。入口の子どもカウンタ|受付の人に係長を紹介され、約一時間の案内を受け、館内の見学をしました。以下その一部を紹介します。

家読(うちどく) 2007(平成19)年開始
親子(家族)で読んで、感じたことを話し合う新しい読書スタイルを提起し、全国的に話題を呼びました。いじめ根絶(全国初「いじめなし宣言」)、前年の「食のまちづくり宣言」では、「テレビ消し・早寝・早起き・朝ごはん」は流行語になり、家庭の教育力の向上につながるとの感想も届いているそうです。

赤ちゃんのブックスタート事業
3カ月児童検診時に絵本が贈られます。(昨年度、年間550人に絵本が2冊ずつ贈呈)

ぶっくんの巡回
平成3年にスタート、現在71か所(幼稚園・保育園、小・中学校など)をおはなしキャラバンが巡ります。

わくわくする登り窯シアター
   012歳児対象の読書会が毎週行われ、若いママたちと乳幼児を大切に育てる地域の温かさがあります。読み聞かせ、紙芝居など趣向を凝らした舞台装置(登り窯シアター)は、文化の豊かさを感じます。

「図書館フレンズいまり」
会員395人(5・10現在)。『協力と提言』を合言葉に図書館が市民のために守り育てるための支援活動団体です。毎月の催しのほか、後援会の企画・実施広報・PR活動さらにボランティ活動の支援など多彩なイベント(お話しキャラバン、てんとう虫の家、対面朗読草ひばり、いすの木合唱団)を行っています。まさに市民参加の市民のための図書館を育んでいます。

郷土の歴史を大切に
森永製菓の創始者「森永太一郎展示コーナー」、「大隈重信の肉声が聞けるコーナー」もあります。

地域間格差を失くすため
国立国会図書館の歴史的音源の提供やデジタル化資料送信サービスも利用できます。

お年寄り向けに
大活字本が充実しています。「本の価格が高価なので予算面でたいへんですが」と係長の弁でした。

編集後記
 海老名市立中央図書館の一階、雑誌架台の上段の書棚に、1964~1994年発行の古い雑誌「太陽」が大量に並び、1980年代の「山と渓谷」、同じ棚に「週刊文春」「サンデー毎日」が無造作に並べてありました。雑誌が棚の「埋め草」にされているのではないでしょうか。公共図書館です。もっと本を大切に扱い、市民本位の配架を考えてほしいと願わずにいられません。(j)


2016年6月21日

要望書  30年前の山岳本 至急除架を


                                                                                                     2016年6月21日

海老名市長 内野 優 様

                                             図書館と市民を結ぶ海老名の会            

(1)夏山シーズンを迎え、登山やハイキングが計画されています。登山ルートや山小屋、火山活動などの確認は必要不可欠です。台風や火山帯が多い日本では岩場の崩落等も少なくありません。2015年の山岳遭難は発生件数が2058件を数え、統計が残る1961年以降で最多となっています。

従って図書館では通常、内容が古くなった山岳本は除架・除籍され、新しい情報を載せたものが開架書架に置かれています。

(2)ところが海老名市立中央図書館(海老名「ツタヤ図書館」)の「登山ガイドブック」コーナーには、内容の古い図書が公然と置かれています。なかでも「日本の名峰」(山と渓谷社)のシリーズ本は30年前の本です。
 
 その一冊、『中央アルプスと御岳』(1986年発行)は山岳写真のほか、登山コースが詳しく紹介され、「コースタイム」「交通」も記されています。しかし、御岳は2014年に噴火。噴火災害での死者数が戦後最悪の58人となりました。

また、「日本の名峰」の各巻には山小屋とその電話番号も紹介されています。山小屋は登山中の緊急時、避難先にもなることは周知の事実ですが、『立山・剣・薬師』(1985年発行)掲載の剣沢小屋に電話をかけると、「現在使われていません」の声が流れます。

『槍・常念・燕岳』(1985年発行)の池ノ平小屋は「収容人員100人」と紹介されていますが、電話に出た男性は「100人は昭和の時代だ」と驚き、収容人員を「いまは30人」と話しています。同書の裏表紙には「書庫」のシールが貼られたままです。  

(3)現状とは違う山岳本を利用者の見える開架書架に置くことは、その安全や命を脅かす危険さえ招きかねません。海老名市立図書館の「除籍基準」にも「出版年が古く情報源として適さなくなったもの」は「除籍により蔵書の更新」を図ると明記されています。

中央図書館で古い情報を載せる山岳本が開架図書とされていることは、直ちに改める必要があります。除架等の手続きをとることを強く要望します。


2016年3月20日


図書館市民ニュース 第1号  2016年3月発行

学習会「図書館って楽しいよ」  広い市民が参加
  葉山敦美・座間市立図書館主幹が講演

図書館と市民を結ぶ海老名の会は3月5日、学習会「図書館って楽しいよ―図書館を生活」を海老名市内で開きました。図書館の本来の値打ちを学びつつ、「ツタヤ」問題も考えようと計画されたもの。会場は満席になり、共感の声が数多く寄せられました。

公共図書館の大事な役割は「調べたい・見たい・聞きたい」市民へのサービス
  講師の葉山敦美・座間市立図書館主幹は、公共図書館の大事な役割として、「調べたい・見たい・聞きたい」市民へのサービスがあると強調。病院の情報を調べたいという市民に、定評のある医療書をいっしょに見てもらうなど、行き届たサービスを紹介しました。
  加えて、図書館はあらゆる個人・施設とつながることができると指摘。生徒から「帰らないで」と請われる県立座間養護学校でのおはなし会(年10回)や、親子がそろって楽しむ「親子でふるえるこわいおはなし会」など、市民に開かれた座間図書館の実践例を明らかにしました。
  公共図書館の“公平”な役割についても、基地・日米安保の本を賛成も反対もそろえている例を示し、「判断は読む人にしてもらう」と語りました。

ツタヤ図書館の「ブラックボックス」化/本物が並べられてこそ重量感も
  葉山氏は図書館の指定管理者制度問題について、メリット・デメリットの両論にふれつつ本質が経費節減にあると指摘。書架の間隔が車イス利用者にとっては狭い実例などを挙げました。
  同制度が導入される背景についても、直営時代に住民参加や地域社会への貢献が“低調”であったケースを明らかにしました。
  また、分類法の問いを「企業秘密」として拒み、貸し出し数も不明という佐賀県武雄市の「ツタヤ」図書館の事例については、公共図書館ではあり得ないと言及。その「ブラックボックス」化に警鐘を鳴らしました。
  海老名市立中央図書館にも並ぶ「ダミー本」(本の形の偽物)にふれて、「図書館は本物が並べられてこそ重厚感も生まれる」と述べました。

“きみたちの一歩のために図書館はあるんだよ”
  質疑応答で葉山氏は、公共図書館の在り方の一つに、子どもの居場所としての役割があると発言。佐賀県の伊万里市立図書館はミッション(使命)のなかに“きみたちの一歩のためにこの図書館はあるんだよ”を掲げ、子どもらとの結びつきを深めていると語りました。

市民のための図書館を 確信を深めてスタート

図書館学習会の準備中、驚いたのは、主催者も知らないところで参加者の輪が広がったことです。
  電話で申し込んできた女性は、開口一番、「ありがとうございます」と言い、「海老名の図書館問題にモヤモヤしていただけに、今回のような学習会を待っていた」と一気に語りました。市内の二つの喫茶店も学習会の案内チラシの掲示を快諾しました。
  学習会に立場の違いを越えた参加した市民や市議は、公共図書館の進んだ経験や教訓を学びました。
  市民は、文化的な生活とともに、市民のための図書館を願っています。海老名の新しい市民運動は確信を深めてスタートしました。
学習会「図書館って楽しいよ」 (2016年3月5日) 参加者の感想から


公共図書館の在り方がストンと 女性・30代 図書館って楽しいよ、のテーマの通り、葉山敦美さんのお話で、図書館は本当に楽しいところ、ワクワクするところ、居場所や学びの場であることがわかり、公共図書館のあり方もとてもストンと落ちました。市民とつながる図書館にしていくように、できることをしていきたいと思います。

よく分かった解説 男性・60代 図書館業務の多様さを改めて認識させられました。関連する他の分野についての説明も明快で理解しやすかった。資料が豊富で、かつ解説もよく分かりました。

関心をしっかり持って 女性・60代 市立図書館を守っていかなければ…そのためには関心をしっかり持ってみていこうと思いました。何回かに分けて図書館の工夫や実行されている活動のお話を聞けるとよいと思います。ありがとうございました。

多面的な活動に敬意 女性・70代 広範囲な図書館業務が理解できました。直営の座間図書館の多面的な活動(ボランティア導入も含めて)に敬意を表します。熱意を感じました。 

市民と結びついて 男性・50代 いままで図書館は本を借りるだけの場所だと思っていましたが、公共性があり、

コミュニティ、教育の場であることを知りました。指定管理者にすることの問題が少し分かりました。図書館は営利目的であってはいけないし、市民から離れた施設であってはいけない。市民と結びついていることが必要だと実感しました。

また学習会に参加したい 女性・60代 ぼんやりしていた「ツタヤ図書館」への不安、不満が、あるべき公共図書館の姿をお聞きして、明らかになってきました。友の会や老人大学等に興味を持ちました。また、具体的に反対していくためにどうしたらよいか、学習会に参加したいと思います。ありがとうございました。

 束になって努力したい 女性・70代 図書館は人間を育てるところです。座間図書館が市民が何を求めているのかを探り、サービス計画を作り、運営を進めていることに敬意を表します。海老名市民としてうらやましいし、指定管理者制度を少しずつでも改善するため、束になって努力したい。

図書館の崇高さ 女性・60代 図書館で崇高な働きをされていることに感動しました。あらゆる世代の市民や様々な学習を求める人に対して、平等に、排除せず、図書館員として可能な限り支援するという誠に人間味あふれる葉山さんの職業観、様々な面白い企画を実行され、図書館への並々ならぬ熱意を感じました。ツタヤ図書館の様々な問題点と私が望んでいる公共図書館の姿が具体的に見えてきました。

海老名市は大きな損失 男性・60代 同じ図書館でもこれほど差があるのかと、がく然としました。市の基本姿勢の違いでしょうか。海老名市は大きな損失をしていると感じました。

市民に開かれた図書館に 女性・60代 座間図書館ではいろいろなサービスを工夫されていることに感動しました。海老名図書館ではどのくらい行われているのかと思いました。「ブラックボックス」化するのではなく、市民に開かれた図書館にしていくことが大切ですね。

現在のままではだめ 女性・70代 海老名の図書館は現在のままではだめだと思います。こんごの在り方を考えています

税金が投入されている 女性・60代 図書館についても海老名の問題も、知らなかったし、知ろうと努力してこなかったと痛感。まずは行って見てこようと思います。「ダミー本」は驚きです。税金が投入されているわけだし、私たちの問題として考え続けなければいけないですね。海老名の問題を集中して学習する場があったら参加したいです。きょうは企画していただいて、ありがとうございました。

落ち着かない海老名中央図書館 女性・70代 いろんな図書館を知ることができ、また座間図書館のことも知り、参考になりました。新しい中央図書館ができてからは、行きやすい座間図書館を静かに使わせていただいています。CCCの図書館では落ち着いてすごせません。問題を正して欲しいです。

「ダミー本」の早期撤去を 女性・70代 大変参考になりました。海老名の図書館は本のレンタル屋です。書架の間隔が車イスが通るのに不十分なんてありえない。「ダミー本」も早く撤去して、子どもの手が届くところに本を置いてください。